1976年、スティーブン・キング原作のホラー小説が映画化され、世に衝撃を与えた。その名も「キャリー」。まだ少女のキャリーは、超能力を秘めた存在として描かれる。しかし、彼女は学校でいじめられ、家庭でも理解を得ることができない孤独な少女だった。そんな彼女の人生は、ある事件をきっかけに大きく変わってしまう。
あらすじ:いじめと虐待に打ちひしがれる少女の覚醒
キャリー・ホワイト(スージー・バッサー)は、厳格で宗教的な母(ピッピー・ロングストック)によって育てられた、内気な高校生だ。彼女は超能力に目覚めるものの、その力をコントロールすることができない。学校ではいじめられ、家庭でも虐待を受ける日々。そんなキャリーの人生に転機が訪れるのは、体育の授業中に突然生理が始まり、クラスメイトに見られてしまうという出来事だった。
この事件をきっかけに、キャリーは激しく恥辱と怒りを覚え、その感情が彼女の超能力を刺激する。彼女は次第に、物体を動かす、火を起こす、さらには他人の思考を読み取ることができるようになる。キャリーは、これらの力を使い、いじめっ子たちへの復讐を果たそうとする。
登場人物:苦悩と葛藤に満ちたキャラクターたち
キャリーを演じたスージー・バッサーは、当時無名だった女優だったが、この作品で一躍スターダムへと駆け上がった。彼女の演技は、キャリーの孤独、恐怖、そして怒りを繊細に表現し、多くの観客の心を揺さぶった。
キャリーの母親であるマーガレットを演じたピッピー・ロングストックは、狂信的な宗教観を持つ女性を強烈に演じている。彼女は、キャリーを「悪魔に魅入られている」と信じ、彼女を厳しく戒めようとする。
また、キャリーをいじめ続けるリーダー格のスーザン(エイミー・アーレン)や、キャリーに優しさを見せるトミー(ウィル・マーフィー)なども重要なキャラクターとして登場する。
テーマ:抑圧と解放、復讐の道徳
「キャリー」は、単なるホラー映画ではなく、人間の心の闇を深く探る作品だ。キャリーが持つ超能力は、彼女の抑圧された感情の表れであり、社会の不平等やいじめという問題を浮き彫りにする。
同時に、この映画は復讐の道徳についても問いかけている。キャリーは、いじめっ子たちに容赦なく復讐を果たすものの、その行為は最終的には彼女自身をも不幸にする。キャリーの運命は、私たちに「暴力は解決策にならない」ということを教えてくれる。
映像と音楽:恐怖を最大限に引き出す演出
「キャリー」の監督ブライアン・デ・パルマは、鮮明な映像美と緊張感あふれる編集で、観客を恐怖の世界へと誘う。特に、クライマックスシーンでのキャリーの超能力覚醒は、映画史に残る衝撃的な場面として高く評価されている。
音楽も重要な要素であり、ピエロ・ウンベルトが作曲した不気味なBGMは、キャリーの心の葛藤や恐怖を効果的に表現している。
キャスト | 役柄 |
---|---|
スージー・バッサー | キャリー・ホワイト |
ピッピー・ロングストック | マーガレット・ホワイト(キャリーの母) |
エイミー・アーレン | スーザン・スナーク(いじめっ子リーダー) |
ウィル・マーフィー | トミー・ロッス(キャリーに優しい男子生徒) |
まとめ:現代でも語り継がれるホラー映画の傑作
「キャリー」は、公開当時から大きな話題を呼び、多くの賞を受賞した。現在でも、ホラー映画の金字塔として高く評価されており、世界中で愛されている作品だ。この映画は、単なる恐怖を楽しむだけでなく、人間の心の闇や社会問題について深く考えさせてくれる傑作である。
キャリーを鑑賞する際には、彼女の苦悩と葛藤に心を痛め、復讐の道徳について自分自身と向き合うことをおすすめする。